Crazy Stars
A Night The Sky was Full of Crazy Stars
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多言語の歌声が響く開かれた広場へ
韓国から伝統音楽「正歌」の歌手ジー・ミナを招いて催す新作公演は、現在も韓国で愛される「春香伝」と、さまざまな詩をコラージュした詩劇の二部構成。「春香伝」の登場人物のまつろわぬ魂が、たった数行の詩を10分以上かけて歌う、彼女の静けき声に憑依する。
本公演はコロナ禍の2020年、埼玉で着想された。今や新宿区を超え、在留外国籍者が最多の自治体である川口市や蕨市周辺に暮らす、とりわけトルコより移住するも難民認定されず、県外移動もままならないクルドの人々との交流の場となることを願って、架空の「広場」を想定する。それが新たな“ユーラシアンオペラ”が演じられる空間だ。
クルド人が多く暮らすエリアで開催する埼玉公演では、不思議な重力感を表現する美術家・髙田純嗣の彫刻作品のある空間で、観客とともに本当の「広場」をつくり上げる。
ジー・ミナ(池 玟兒)
韓国国楽「正歌」の歌手。国家無形文化財第30号歌曲履修者。「新進国楽実験ステージ」においてソロリサイタル『池に落つる小石』(自身の漢字名が由来)でデビュー。
ソウル市国楽発展総合計画「北村楽楽」(北村昌宇劇場)に参加。音楽祭、ソウルミュージックウィークなどに出演。伝統音楽と現代音楽を往来し、ユニット「モダン歌曲」を結成。音楽詩劇研究所の韓国公演『さんしょうだゆう in コリア』(2019)に参加。河崎純のCD『HOMELANDS』(2022)では、さまざまな韓国のフォークロアの声を新たな解釈で現代に蘇らせた。
エリ・リャオ
幼少時から自身のルーツである台湾原住民族タイヤル族の音楽や踊りに親しむ。東京大学大学院在学中、ジャズに関心を持ちニューヨークへ。文芸創作とジャズを学ぶ。
祖母の死をきっかけに本格的に音楽創作に取り組み、現地ミュージシャンとセッションを重ねる中、Billy Harper (ts)ボーカルプロジェクトメンバーに抜擢され、シンガーとして活動開始。
ジャズ、台湾原住民音楽など、古今東西、言語やジャンルを超えて揺さぶる“うた”の世界を歌い続けている。2022年より音楽詩劇研究所に参加。
Denge Jine Japan
トルコでの差別的な処遇を逃れて日本に暮らす、クルド人女性によるユニット。クルド民族の伝統音楽を大太鼓と歌で、奏で踊る。
クルド音楽の特徴は、ほかに類を見ないダイナミズムと繊細さの共存にあり、それはとりわけ口承叙事詩デングベジュなどの歌唱に顕著に表れる。
クルドの音楽文化は男性中心に伝承されてきたともいえるが、故郷から遠く離れた暮らしの中で彼女たちもまたそれを受け継いでいる。
[スペシャルゲスト]
[ソリスト]
© mikomex
埼玉公演 2022年11月23日 会場:アプリュス 芝スタジオ
東京公演 2022年11月26日、27日 会場:SHIBAURA HOUSE
ソリスト:ジー・ミナ(歌) エリ・リャオ(歌)
演奏:松本ちはや(マリンバ・打楽器) 熊坂路得子(アコーディオン)
任炅娥(チェロ) 小沢あき(ギター) 河崎純(コントラバス)
スペシャルゲスト:Denge Jine Japan(歌・ダフ)*埼玉公演のみ
三浦宏予(ダンス) 亞弥(舞踏) 吉松章(舞・謡) 坪井聡志(歌)
作曲・演出:河崎純
美術展示:髙田純嗣 映像:三行英登 サウンドデザイン:清水博志
音楽監督:小沢あき テキスト協力:原牧生 舞台監督:加古貴之
照明:宇野敦子 ステージコーディネート:白澤吉利 記録写真:mikomex
主催・制作:音楽詩劇研究所
協賛:祥エステートオフィス株式会社 タタミスタジオ
協力:出版工房 虹色社 Bishop Records Antenna Books & Cafe ココシバ
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文化庁「ARTS for the future! 2」補助対象事業
photo: mikomex
© 2015-2023 Jun Kawasaki, Music and Poetic Drama Laboratory